日本商工会議所が公開しているサンプル問題を実際に解いていきたいと思います。
教科書的な解説ではなく、できるだけ噛み砕いて説明していきますね!多分!
第2回目の今日は、仕分問題の6〜10の5問を解説していきます。
6.富山商店は、電子記録債権のうち¥150,000 を銀行で割り引き、割引料¥2,000 が差し引かれた残額が当座預金口座へ振り込まれた。
考え方
電子記録債権のうち¥150,000 を銀行で割り引き、¥2,000 が差し引かれた残額が当座預金口座へ振り込まれた。
→債権が¥2,000割り引かれた
→当座預金に残額が振り込まれた
当座預金に振り込まれたところから仕訳するとスムーズです。
電子記録債権が当座預金に姿を変えたわけですが、銀行も無料で当座預金にお金を入れてくれるわけではなく、手数料を取るわけです。
少し話は変わりますが、なんで手数料を取るの?と思われた方はいらっしゃいますか。
現金は基本的に流動性がある方が価値があります。
目の前の100万の方が、10年後の110万より価値があるのです。
つまり、電子記録債権よりも当座預金の方がお金として自由に使いやすいため、流動性を増す行為を銀行が行ったため、手数料を取られています。
話は戻りますが、銀行は手数料分を引いた¥148,000しか振り込んでくれないため、¥150,000の価値があった電子記録債権から価値が減っています。つまり、損をしています。
そこで、手形売却損(費用)が登場します。
当座預金 | 148,000 | 電子記録債権 | 150,000 |
手形売却損 | 2,000 |
7.期末における売掛金残高は¥1,000,000、
電子記録債権残高は¥1,200,000、貸付金残高は¥1,500,000 であった。
売掛金と電子記録債権については、過去の貸倒実績率 1.5%にもとづき、貸倒引当金を設定するが、貸付金については、債務者の財政状態が悪化したため、その回収不能額を 50%と見積もって貸倒引当金を設定する。期末における貸倒引当金の残高は¥8,000である。
考え方
売掛金と電子記録債権については、過去の貸倒実績率 1.5%にもとづき、貸倒引当金を設定
貸付金については、債務者の財政状態が悪化したため、その回収不能額を 50%と見積もって貸倒引当金を設定
→売掛金・電子記録債権×1.5%が貸倒引当金
→貸付金×50%が貸倒引当金
期末における貸倒引当金の残高は¥8,000
→既に貸倒引当金が¥8,000あるため、この分は差し引く
貸倒引当金のよくある問題。営業上の債権と営業上の債権以外の債権とで分けて、貸倒引当金を設定します。
なぜ分ける必要があるか?
ずばり貸倒引当金を設定する際に生じる「貸倒引当金繰入」が損益計算書で計上される場所が異なるからです。
営業上の債権によって生じる貸倒引当金繰入は、損益計算書内の「販売費及び一般管理費」に計上されます。
一方、営業上の債権以外の債権によって生じる貸倒引当金繰入は、損益計算書内の「営業外費用」に計上されます。
さらに例外的に特別損失に計上される場合もありますが、簿記2級の問題を解く中では見かけたことはないので、無視して良いです。
このような背景があり、それぞれで貸倒引当金を求めるような文章がわざわざ書かれています。
さて、まずは売掛金・電子記録債権の貸倒引当金の設定額を求めます。
売掛金+電子記録債権=2,200,000
次に、1.5%の貸倒引当金を求めます。
2,200,000×1.5%=33,000 ー①
同様に、貸付金×50%をして貸倒引当金を求めます。
1,500,000×50%=750,000 ー②
①と②を足しちゃいます。
33,000+750,000=783,000 ー③
で、ここでお腹いっぱいになってはだめです。
期末における貸倒引当金の残高は¥8,000
→既に貸倒引当金が¥8,000あるため、この分は差し引く
これ思い出してください。
ってことで、上記③から8,000を引きます。
783,000ー8,000=775,000
これにより本問で必要となる貸倒引当金繰入(費用)と貸倒引当金(資産のマイナス)が算出されました。
資産のマイナス勘定については、なんじゃそれとツッコミを入れたくなりますが、ここは覚えてください。簿記2級取得には必要のない探究心となります。
貸倒引当金繰入 | 775,000 | 貸倒引当金 | 775,000 |
8.決算(決算日 3 月 31 日)にあたり、次年度の6月における従業員に対する賞与の支給に備え、当期の負担分を¥2,000,000 と見積もり、賞与引当金に計上した。
考え方
¥2,000,000 と見積もり、賞与引当金に計上
→賞与引当金を¥2,000,000計上
賞与引当金を計上するために、引当金の相方の繰入も計上するというシンプルな問題。
問題文が「次年度の6月に」とか、「当期の負担分を」とか書いているけど、それはまやかし、幻想なのである。
賞与引当金繰入 | 2,000,000 | 賞与引当金 | 2,000,000 |
9.6月25日、従業員の賞与¥4,200,000(前期末に賞与引当金¥2,000,000 を計上している)に対して、源泉所得税等の預り金¥630,000 を差し引き、残額を現金で支払った。
従業員の賞与…残額を現金で支払った。
→賞与をいくらか払う
前期末に賞与引当金¥2,000,000 を計上
→賞与引当金から賞与を捻出
源泉所得税等の預り金¥630,000
→預り金¥630,000
問題文が少し複雑ですが、シンプルに理解しましょう。
まずは、賞与を払いました。
賞与や給与を企業が個人に払う際は、社会保険料を賞与・給与から控除します。
ただこれは企業の財布に入るわけではなく、あくまで預かっているだけで、後に日本年金機構や協会けんぽに支払われていきます。なので、預り金として社会保険料を賞与・給与から控除するわけなんですね。
ってことで、後に払うものなので、預り金は負債勘定となります。
まとめると、賞与払います、だけど、社会保険料は預かります。そして賞与の支払いの際にはその一部を賞与引当金から捻出しますということですね。
まずは現金を使って賞与を払います。
ただし、これを全額賞与で計上するわけではなく、既に引き当てている引当金を使用することで、費用勘定である賞与でなく、一部マイナスの資産勘定である引当金が切り崩されます。
そして、全額を現金で支払うのではなく、一部預り金(負債)として預かるわけですから、貸方に預り金が計上されます。
賞与 | 2,200,000 | 現金 | 3,570,000 |
賞与引当金 | 2,000,000 | 預り金 | 630,000 |
10.決算日に、売掛金残高¥1,000,000 に対して、翌期の返品額を¥150,000 と見積もり、その額に売上総利益率(20%)を乗じた金額を返品調整引当金として計上した。
…を乗じた金額を返品調整引当金として計上
→いくらかを返品調整引当金を計上
この問題も文章に衣が多いですが、要するに引当金を設定したということです。
引当金の金額については、以下の通りの計算式となります。
150,000×20%=30,000
上の問題でもありましたが、引当金を設定するときは相方として繰入を持ってきます。
返品調整引当金繰入 | 30,000 | 返品調整引当金 | 30,000 |
今回も5問仕訳してみました。
次回、第11問〜第15問の仕訳を行います!
※私は簿記2級を取得しただけの人間です。表現について誤りがあれば遠慮なくご連絡ください。直ちに精査しまして修正いたします。皆様のお力添えを頂きながら、クオリティの高い記事を投稿できればと存じます。
よろしくおねがいいたします。