この記事では、会社で働いている方向けに年末調整をむちゃくちゃ簡単に解説します。
あくまで、従業員向けなので年末調整を実際に行う経理、総務、人事などの実務担当者向けではございませんので、ご容赦ください。
実務担当者向けには今後別記事で詳細を解説予定です。(多分)
では、早速説明していきます。
年末調整って何?(年末調整の目的)
答えはむちゃくちゃ簡単です。
働いているあなた(給与所得者)の税額(所得税、住民税)を決定するための処理手続きです!
日本という国は、給与所得者の税金を会社にお願いして確定してもらっているのです。驚きですよね。
年末になると会社があなたに支払った給与や賞与が確定しますから、その確定した年収をもとにして、所得税や住民税を決定します。
ここで勘がいい方は気づかもしれません。
「所得税も住民税も毎月給与から引かれているよ。あれは何なの?」と。
実は所得税については、「仮の税額」で給与や賞与から控除しています。
住民税については、前の年の所得に基づいて算出されていますので、これは仮の税額ではなく正確な税額となります。ここでは理解が困難になるので、「ふーん」と思っておいてください。
次のトピックで、年末調整の流れを説明します。
所得税の算出の仕方
所得税も消費税と一緒で、「課税対象×税率」で算出されます。
例えば、消費税であれば、100円のジュースを購入した際には、100円×8%=8円となり、この8円が消費税となります。
所得税も同様に「課税対象所得×所得税率−控除額=所得税」となります。
例えば、課税対象所得が500万の方の場合、500万×20%−427,500円=572,500万が所得税となります。(むちゃくちゃ高額やん…)
消費税と違って所得税は少し複雑で、課税対象所得の金額(課税される所得金額)によって税率が変わります。
具体的は、以下の通りとなっています。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
なので、課税対象所得が500万の方は、税率20%を乗じて、そこから控除額の427,500円を差し引いた572,500円がその年の所得税額となります。
で、いきなりこの約50万ほどの所得税を払えと言われると、皆さん困りますよね?
なので、所得税は月々の給与や賞与から分割して徴収されています。
ただし、先にも説明している通りあくまでその時徴収される所得税はだいたいこれくらい引いとけってことでだいたいの金額で引かれています。
そんなだいたいで引かれていた所得税を年末に確定させ、多く所得税を取りすぎておればお返しして、所得税が足りてなければさらに徴収するというのが、年末調整の役割になります。
ちなみに年末調整の結果が出ると、そのデータを会社が市町村に送られて、翌年の住民税が決定します。
年末調整で気をつけること!
上にも書きましたが、課税対象所得が高額であればあるほど、税金がどんどん高くなりますから、課税対象所得をいかに少なくするかが、所得税や住民税を減らすためのポイントとなります。
では、どうやって課税対象所得を減らすか。(所得を控除できるか)
ここはかなりルールが細かく決められていて、以下の控除が法律に基づいて用意されています。
従業員本人や家族の状況に応じて決まる控除
- 基礎控除(全員が得られる控除)
- 配偶者控除、配偶者特別控除(配偶者を扶養していたら得られる控除)
- 扶養控除(配偶者以外の家族を扶養していたら得られる控除)
- 障害者控除(自身や家族が障害であれば得られる控除)
- ひとり親控除、寡婦控除(一人で子供を育てていたら得られる控除)
- 勤労学生控除(自身が勤労学生であれば得られる控除)
従業員本人が払った特定の費用で決まる控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 社会保険料控除
- 住宅借入金等特別控除
なにやら専門用語チックな言葉が並んでいますので、簡単にまとめます。
まずは「従業員本人や家族の状況に応じて決まる控除」について。
こちらは、家族を扶養していたり、自身や家族が社会的弱者であれば税金を安くするために特別に控除を増やしますよというものです。
なので、独身で健常者であれば、基礎控除以外は控除を得ることはできませんので、課税対象所得が高くなり、所得税は高くなります。
次に、「従業員本人が払った特定の費用で決まる控除」について
こちらは数ある支出の中でも任意保険、社会保険、年金、住宅ローンに払った費用については、課税対象所得から外して考え、所得税を安くしようとするものです。
なので、従業員の皆さんについては、上の控除に該当するかどうかをしっかりと把握し、年末調整時には会社に申告漏れがないよう注意してください。
以上、思いのままに書いたので、ぐちゃっとした説明になっているかもしれませんが、以上が非常に年末調整をシンプルに説明した内容となっています。
過去10年で5,000人以上の年末調整を行ってきた私が説明するのだから、大筋は間違いなくあっておりますし、ご質問あればどうぞコメントやお問い合わせください!